「きれいなデザイン」だけでは、保護者の心は動かない
はじめに:なぜ、ホームページの「文章」が重要なのか?
「プロに頼んで素敵なデザインのホームページを作ったのに、問い合わせが増えない…」
「園の想いをたくさん書いているのに、保護者に伝わっていない気がする…」
そんなお悩みをお持ちの園長先生、もしかするとその原因は「文章」にあるかもしれません。

保護者が園選びをする際、まず目にするのはホームページです。写真やデザインで「楽しそう」「きれい」という第一印象を与えることはできますが、最終的に「この園なら安心だ」「うちの子に合いそう」と心を動かし、見学や入園の決断を後押しするのは、そこに書かれている「言葉の力」です。
特に、大切なお子様を預ける場所を探している保護者は、園の教育方針や先生たちの想い、日々の保育の様子を、文章から真剣に読み取ろうとしています。
この記事では、数多くの園サイト制作に携わってきた経験から、保護者の心に「刺さる」文章を書くための具体的なテクニックを解説します。特別な文才は必要ありません。いくつかのポイントを押さえるだけで、園の魅力は今よりもっと伝わるようになります。
目次
今日から実践!保護者に刺さる文章作成5つの鉄則
保護者に響く文章を書くために、難しいテクニックは必要ありません。大切なのは「読む相手への配慮」です。具体的な5つのポイントを見ていきましょう。
鉄則1:「誰に」向けたメッセージかを明確にする(ターゲット設定)
「全ての保護者」に向けて書こうとすると、誰の心にも響かないぼんやりとした文章になりがちです。まずは、読み手を具体的にイメージしましょう。
- 初めての保活で不安がいっぱいの新米ママ・パパ
- 仕事と育児の両立に悩む、忙しい共働き家庭
- のびのびとした環境で、子どもの個性を伸ばしたいと考えている保護者
ターゲットが定まると、「どんな言葉をかければ安心してくれるか」「どんな情報を求めているか」が見えてきます。例えば、初めての保活中の保護者に向けてなら、専門用語を避け、入園までの流れを丁寧に説明する文章が響くでしょう。
鉄則2:専門用語はNG!「やさしい言葉」への言い換え術
保育の現場では当たり前に使われている言葉でも、保護者にとっては馴染みがないことが多々あります。難しい言葉は、親しみやすい表現に言い換えましょう。
| 専門的な表現(Before) | 保護者に伝わるやさしい表現(After) |
|---|---|
| 食育を推進しています | みんなで楽しく食べる時間を大切にし、「食」への興味を育てます |
| 縦割り保育を実施 | 年齢のちがうお友達と一緒に遊び、思いやりの心を育みます |
| 発達段階に応じた援助 | 一人ひとりの成長ペースに合わせて、丁寧に関わります |
| コーナー保育を導入 | おままごとや絵本など、好きな遊びを自分で選べる環境を作っています |
このように言い換えるだけで、文章の印象はぐっと柔らかくなり、保護者は具体的な保育の様子をイメージしやすくなります。
鉄則3:「うちの園ならでは」の強み・個性を具体的に語る
多くの園のサイトには「一人ひとりを大切にします」「のびのび育てます」といった言葉が並んでいます。これらは素晴らしい方針ですが、抽象的すぎて他園との違いが伝わりません。
大切なのは、「どのように」大切にしているのか、「何をして」のびのび育てているのか、具体的な取り組みやエピソードを交えて語ることです。
- 「広い園庭があります」だけでなく、「園庭には実のなる木がたくさんあり、季節ごとの収穫体験を楽しんでいます」と書く。
- 「英語教育に力を入れています」だけでなく、「ネイティブの先生と歌やゲームで遊ぶ時間を毎日設け、自然に英語に親しんでいます」と書く。
具体的な事実(ファクト)を伝えることで、文章に説得力が生まれます。

鉄則4:リアリティを生む「実際のエピソード」を盛り込む
抽象的な方針だけでなく、日々の保育で起きた具体的なエピソードを盛り込むと、文章に温かみとリアリティが生まれます。
- 「先日、お散歩でこんな発見がありました…」
- 「運動会の練習で、ある子がこんな風に頑張っていました…」
- 「保護者の方から、こんな嬉しいお声をいただきました…」
こうしたエピソードは、先生たちが子どもたちを温かく見守っている証拠となり、保護者の安心感に直結します。ブログはもちろん、園の紹介ページなどにも積極的に取り入れましょう。
鉄則5:結論から書く「PREP法」で、わかりやすく伝える
忙しい保護者は、長い文章をじっくり読む時間がありません。伝えたいことは、結論から先に書くのが鉄則です。「PREP(プレップ)法」と呼ばれる構成を意識してみましょう。
- Point(結論・要点):一番伝えたいこと
- Reason(理由):なぜそうなのか
- Example(具体例):例えばどんなことか
- Point(結論・まとめ):改めて結論を強調
【例文:食育について】
(P) 当園では、子どもたちが「食べること」を好きになるような食育を大切にしています。
(R) なぜなら、幼児期の楽しい食事体験は、心と体の健やかな成長の土台となると考えているからです。
(E) 例えば、園の畑で野菜を育てて収穫したり、自分たちでおにぎりを作るクッキング保育を行ったりしています。
(P) こうした体験を通じて、「食」への関心と感謝の気持ちを育んでいきます。
【実例】劇的改善!ビフォーアフターで見る文章術
では、実際にここまでのポイントを踏まえて文章を修正すると、どう変わるのでしょうか。よくある例で見てみましょう。
ケース1:教育方針のページ
【Before】抽象的で伝わりにくい文章
当園では、キリスト教精神に基づき、子ども一人ひとりの個性を尊重し、心身ともに健やかな成長を促す保育を実践しています。また、遊びを通して自主性や社会性を養うことを目指しています。
【After】具体的で保護者に寄り添った文章
私たちは、子どもたち一人ひとりの「その子らしさ」を何よりも大切にしています。「やってみたい!」という意欲を尊重し、成功も失敗も温かく見守ることで、自信と自己肯定感を育みます。お友達との遊びの中では、時には喧嘩もしながら、相手を思いやる心やルールを守る大切さを学んでいきます。
→ 難しい言葉を避け、具体的な子どもの姿が浮かぶような表現に変えたことで、園の温かい雰囲気が伝わるようになりました。
ケース2:園長挨拶のページ
【Before】形式的で堅苦しい文章
園長の〇〇です。本園は昭和〇〇年の創立以来、地域の皆様のご理解とご協力のもと、幼児教育の振興に努めてまいりました。今後も時代のニーズに応えるべく、職員一同邁進してまいります。
【After】人柄が伝わる、親しみやすい文章
園長の〇〇です。毎朝、門のところで子どもたちの元気な「おはようございます!」の声を聞くのが、私の一番の楽しみです。私たちが目指すのは、子どもたちが安心して自分を出し、保護者の皆様が信頼して預けられる「第二のおうち」のような園です。子育ての悩みや不安があれば、いつでも園長室にお越しくださいね。一緒に考え、お子様の成長を見守っていきましょう。
→ 園長先生の「人柄」や「想い」が伝わる言葉を選ぶことで、保護者が親近感と安心感を抱きやすくなります。
まとめ:言葉は「贈り物」。保護者への想いを届けよう
ホームページの文章は、単なる情報伝達の手段ではありません。まだ見ぬ保護者へ向けた、園からの「最初の贈り物」です。
「私たちの園は、こんな風にお子様を大切にします」
「お父さん、お母さん、安心して私たちを頼ってください」
そんなメッセージを、やさしく、わかりやすく、心を込めて言葉にすることで、その想いは必ず保護者に届きます。ぜひ、今回の記事を参考に、ご自身の園のホームページの文章を見直してみてください。きっと、新しい出会いに繋がるはずです。
